札幌のマンション価格について、前からずっと気になっていることがあります。
建築資材の値上がりや人件費の高騰で価格が上がっているというニュースは、よく目にしますね。
ですが、北海道では人口減少が続いており、将来的には札幌市も人口減少局面に入ると言われています。
それにもかかわらず、市内では新しいマンションが建ち続け、価格も大きく下がる気配は見られません。
「資材高騰の影響はあるにせよ、人口が減っていく街で、なぜここまでマンション価格が高止まりしているのだろう」
そんな疑問から、この街のマンション事情について少し考えてみました。
分譲マンションの「良い土地」と「すぐに使える土地」の違いとは?
実は以前、不動産会社のマンション用地を探す部署で事務をしていました。
実際に土地のデータや書類に触れる中で、分譲マンションを建てるためには本当にたくさんの条件があることを知りました。
立地としての魅力はもちろんですが、事業化するためには以下のような「開発上のハードル」をクリアする必要があったのです。
- マンションが建てられるだけのまとまった敷地面積があること
- 重機や工事車両がスムーズに入れる道路幅や形状であること
- 複雑に分かれた土地の所有権や権利関係が綺麗に整理されていること
都心部や駅の近くには魅力的な場所がたくさんあります。しかし、地権者が何人もいたり権利関係が複雑だったりすると、買い取りや交渉だけで何年もかかってしまいます。
近年の再開発や中心部のマンション建設を見ていると、まさにその難しさを実感します。一等地であっても着工までに膨大な年月がかかるのはそのためです。
「良い土地」と「今すぐ事業として使える土地」は別物。土地の希少性が高いからこそ、仕入れコストも下がりません。

市内各地で増えるタワーマンション。買っているのは誰?需要が尽きない理由
札幌駅周辺に限らず、新札幌や東区の卸センター跡地、円山など、市内各地でタワーマンションが立ち並び、街の風景を大きく変えてきました。
一戸あたり数千万円から1億円を超えるような物件も少なくなく、「一体どんな人が買っているのだろう」と首をかしげたくなることもあります。
ただ、実際の市場を見ていると、単に「家を探している地元の居住者」だけでなく、道内他地域からの買い替えや本州からの資金、資産保有を目的とした購入など、買い手の層が以前とは大きく広がっているのを感じます。
交通や医療、商業施設が集約された札幌という都市全体の利便性に引き寄せられるように、多様な資金が流れ込んでいるからこそ、高額帯であっても需要が成り立ち続けているのが現状です。

夜の街を歩いて感じる違和感。数字上の「需要」と「実生活」のギャップ
一方で、夜に街を歩いていてふと気になることがあります。
新しく建った立派なマンションを見上げても、部屋の明かりがあまりついていないように見えることです。
もちろん、住んでいる方の生活リズムや時間帯の違いもあるとは思います。
ただ、実際にそこで日常の生活を送っている気配が控えめだと、街の活気と上がり続ける価格の間に少しギャップがあるようにも思えてきます。
数字のうえでは「完売」や「高い需要」と言われていても、実際に人が暮らしている肌感とはどこかズレがある。
「需要があるから建つ」という単純な説明だけでは割り切れない奥深さが、今の札幌のマンション事情にはあると感じています。

価格高騰で狭くなる新築と、「管理」で価値を保つ中古マンション
最近のマンション事情を見ていて感じるのは、建築費や土地価格の高騰によって、新築マンションの1戸あたりの面積がどんどん狭くなっているということです。
バブル期前後に建てられたゆったりとした広さの中古マンションと比べると、その違いは一目瞭然です。
価格が上がった分、広さを抑えることで総額を調整している側面もあるのでしょう。
一方で、築年数が経っている古いマンションであっても、修繕計画や日々の管理体制がしっかり整っている物件は、建物自体が傷みにくく、きれいに維持されています。
これからの時代、マンションの価値は「単に新しいかどうか」だけでは測れなくなっていくはずです。
これからは、
- 近年の猛暑に対応できる冷房・断熱設備
- ゆとりを持って暮らせる広さや間取り
- 建物の傷みを防ぎ、価値を保ち続ける管理体制
といった要素が、より重視されていくのではないでしょうか。
昔データで見かけていた「好立地」であることに加え、「どれだけ心地よく使い続けられるか」が問われていると感じます。
私はこれからの札幌の住宅市場は、「上がる」「下がる」という単純な話ではなくなっていく気がしています。
立地や設備に恵まれ、何より管理が行き届いているマンションは、新旧問わず選ばれ続けるでしょう。
一方で、維持管理や設備面で時代のニーズに取り残された物件は、少しずつ厳しくなるかもしれません。
人口減少の時代だからこそ、札幌全体で一括りにするのではなく「どのように維持され、選ばれているのか」による二極化が進んでいくのではないでしょうか。

おわりに
資材の高騰だけでなく、買い手の変化や建物の二極化など、札幌のマンションを巡る環境は今まさに大きな曲がり角を迎えていると感じます。
数値上の「需要」と、夜の街で見かける灯りの数。
そのギャップがこの先どうなっていくのか、あるいはどんな街の形を作っていくのかは、とても興味深いテーマです。
これからも日々の街歩きを通して、変わりゆく札幌の風景や暮らしの気配を、楽しく丁寧に見つめ続けていきたいと思います。

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