札幌地下鉄のチュンチュン音の理由
札幌地下鉄でホームにいる時、「チュンチュン」という音を聞いたことがあると思います。
長年札幌に住んでいる方は当たり前すぎて気にすることもないかもしませんが、理由はご存知ですか?
公営地下鉄は全国に9か所ありますが、この音がするのは札幌だけなんです。
(※全国の公営地下鉄→札幌、仙台、東京、横浜、大阪、名古屋、京都、神戸、福岡)
それはなぜかというと「ゴムタイヤだから」という回答となります。
それだけではさすがにわからないので少しずつ紐解いていきますね。
当たり前ですが、車体を動かすには電気が必要です。
集電装置を使ってプラスの電気を集め電車に取り入れますが、取り入れた電気はどこかに逃がさないといけません。
他の地域の地下鉄は、鉄に電気を通して動きレール(鉄)に電気を逃がす形をとりますが、ゴムはご存知の様に電気を通しません。
そこで必要になるのが、車両からの電気を外に逃がす部品「負集電器」。
電気を逃がすのはレールの継ぎ目ごとのため、その時に振動が起きて「チュンチュン」という音が発生するんですって。
つまりは、金属と金属が触れる音が、地下構造の反響等の影響もありチュンチュン音となってひびくということです。
ちなみに南北線はタイヤの構造が他の2路線とは違っているため、東西線、東豊線の方が「チュンチュン」という音は聞こえやすいみたいですよ。
ゴムタイヤのメリット・デメリット
でも、どうして札幌地下鉄は「ゴムタイヤ」にしたの?という疑問がわいてきますよね。
自動車と同じようなゴムタイヤを使用することによって、加速や減速がしやすくなり走行音が静か、振動が少ないというメリットがあります。
でも、札幌地下鉄がゴムタイヤを利用したのは「急こう配が多い場所を走らなければならなかったから」です。
南北線の平岸駅から南平岸駅の間では札幌地下鉄内唯一の高架があります。
地下から地上に上って行かなくてはいけないため急こう配なんです。
建設費削減のためにトンネルではなく高架線となりましたが、ゴムタイヤにしたことの理由はここにあったんですね。
シェルターも旧定山渓鉄道が使用していたものを再利用。
高架区間ですが騒音や降雪も避けるためトンネル内を走るようなスタイル。
シェルターが複数駅にまたがるものは札幌以外にはないそうですよ。
当時は地下鉄を造ることを批判する人も少なくなかったため、苦肉の策だったのでしょうね。
ただ、メリットだけではなくもちろんデメリットもあります。
ゴムタイヤですから、パンクすることもあるんです。
線路には「パンク検知装置」もついていますし、念入りな点検やタイヤ交換を行って運行をしなくてはいけません。
また他の地域の地下鉄に比べて消費電力が多くなるため、維持コストがかかるというデメリットもあります。
50周年を迎えた札幌地下鉄
札幌地下鉄ができたのは1971年になります。
南北線の北24条~真駒内間が開業することから始まり、開通の50日後からはオリンピックの選手や観客の輸送に大活躍しました。
最初にできた南北線の5年後に東西線ができ、1988年にもっとスリム化して東豊線ができました。
◎南北線 16駅 麻生~真駒内 5000形(6両編成)
◎東西線 19駅 宮の沢~新さっぽろ 8000形(7両編成)
◎東豊線 14駅 栄町~福住 9000形(4両編成)
札幌の地下鉄が面白いのは三路線でそれぞれ全く同じ車両や仕様ではないことです
例えばドア数や台車、モーター、走行路面、自動運転対応等が違います。
南北線には天井に電線はないけれど、東西線にはパンタグラフから電気を取りこむため電線があります。
でも、ゴムタイヤというのは共通点ですし「チュンチュン」音も変わりません。
駅舎は開通から50年経ち、現在は老朽化が激しいためトイレ改修や駅のリニューアルに力をいれています。
場所によってはかなり老朽化している箇所あります。
写真:すすきの駅
写真:さっぽろ駅
本当はもっと大規模リニューアルが行われる予定だったのですが、コロナの影響で凍結状態となりそのまま滞っているところもあります。
札幌地下鉄の今後
現在では年間で延べ2億3千万人の利用がある札幌地下鉄。
天候に左右されない地下鉄運行は、札幌市民にとってもなくてはならない交通機関となっています。
他の地域からくる方には「網棚がない」「優先席じゃなくて専用席?」「料金が高い」等というつっこみもあります。
でも、この「チュンチュン」音を聞くと懐かしく、帰ってきたぞーと思わせてくれます。
地下歩行空間開通が2011年、ホームドアができたのが2013年、地下鉄接近メロディが取り入れられたのが2019年と少しずつですが、変わってきています。
札幌地下鉄は今後も少しずつリニューアルされながら、札幌市民の大切な足として存在感を増していきそうです。