札幌市が中島公園周辺に整備を予定している新MICE施設。
総事業費は約592億円、開業は2033年度を目指しています。
このニュースだけを見ると、「なぜ、592億円もかけて学会施設をつくるのかな?」と思った方もいらっしゃるかもしれませんね。
私自身も、最初はそう感じていたんです。
ところが、札幌市の基本計画案や実際に予定されている学会・国際会議をじっくり見ていくと、単なる「箱物建設」とは少し違う姿が見えてきましたよ。

そもそもMICEとは?
MICE(マイス)とは、
- Meeting(会議)
- Incentive Travel(報奨旅行)
- Convention(学会・国際会議)
- Exhibition/Event(展示会・イベント)
の頭文字を取った言葉なんです。
実は札幌市って、国際会議の開催件数が国内トップクラスの都市なんですよ。
近年の国際会議開催件数では、東京、京都、大阪に続く国内4位という位置にあります。
「札幌=観光都市」というイメージが強いですが、実は学会や研究発表の開催都市としても、とても重要な役割を担っているんですね。

札幌で予定されている主な学会・国際会議
2026年度だけを見ても、
- 日本外科学会定期学術集会
- 日本産科婦人科学会学術講演会
- 日本脳神経外科学会学術総会
- 日本災害医学会総会・学術集会
- 応用物理学会秋季学術講演会
- 第11回国際セラミックス会議
- アジア太平洋航空宇宙技術国際シンポジウム(APISAT)
など、たくさんの全国大会や国際会議が開催予定となっています。
しかも会場を見てみると、
- 札幌コンベンションセンター
- 札幌市民交流プラザ
- カナモトホール
- グランドメルキュール札幌大通公園
- 京王プラザホテル札幌
など、複数の施設を組み合わせて開催しているケースが少なくありません。
つまり現在の札幌は、会議の需要はしっかりあるものの、一つの施設だけでは対応しきれない状況なんです。
札幌市が明かす「需要不足」ではなく「会場不足」の実態
札幌市の資料を読むと、とても興味深い数字があるんです。
札幌コンベンションセンターでは、希望日の重複などで受け入れできなかった案件(いわゆる「逸失需要」)が2024年度に365件もありました。ここ数年も300件を超える高い水準で推移しているんですよ。
さらに札幌市は、
- 展示会場が不足している
- 会議室数が足りない
- ホテルとの連携が弱い
- 市内の宴会場機能が減少している
といった課題を挙げています。
つまり札幌市の考え方は、「需要がないのに新しく作る」のではなく、「すでにある需要を取りこぼしてしまっている」というものなんですね。

一般観光客とは違う?学会参加者による大きな経済効果
個人的にとても面白いなと思ったのが、この点です。
一般的な観光客の方はご自分のお財布からお金を出しますよね。一方で学会や国際会議の参加者の方は、大学や病院、研究機関、勤務先の企業が旅費や宿泊費を負担するケースも少なくありません。
もちろん全員ではありませんが、
- 「少し良いホテルを予約する」
- 「懇親会で北海道の食事を楽しむ」
- 「会議の前後に観光する」
といった積極的な消費が生まれやすい特徴があるんです。
札幌市も、MICE参加者は一般の観光客と比べて滞在期間が長く、消費額も大きいと説明しています。だからこそ、全国の都市がMICEの誘致に力を入れているわけですね。

新MICE施設に「中島公園」が選ばれた理由
今回の計画で最も大切なのは、実はここなのかもしれません。札幌市は「中島公園だからこそ価値がある」と考えているんです。
たとえば参加者の方が東京からいらっしゃる場合、
新千歳空港 ↓ JR札幌駅 ↓ 地下鉄南北線 ↓ 中島公園駅
というルートになりますね。計画では施設と地下鉄駅を直接繋ぐ構想も示されているんですよ。
さらに周辺にはホテルが集積しています。新しいホテルとも連携しながら運営していく計画です。
つまり、会議場・ホテル・地下鉄がとてもコンパクトにまとまるわけですね。

総事業費約592億円のMICE施設計画をどう見るか
もう一つ大きいのが、その魅力的なロケーションです。
中島公園には、
- 豊平館
- 札幌コンサートホール Kitara
- 美しい公園景観
がそろっています。
さらに徒歩圏内には「すすきの」もありますよね。札幌市は、お食事や夜間の消費を含めた「ナイトタイムエコノミー」の効果にも期待を寄せているんです。
東京や大阪にも大規模な会議場はあります。ですが、地下鉄駅・ホテル・歴史的建築物・大規模公園・繁華街がこれほどコンパクトにそろっている場所は、全国的にも意外と多くありません。
札幌市が中島公園にこだわる理由は、単なる土地の問題ではなく、「札幌ならではの体験」を提供できる場所だからなのでしょうね。

学会施設だけではなく、市民のみなさんの利用も想定されています
そして少し意外だったのが、市民利用についてなんです。
計画の中では、
- コンサート
- ディナーショー
- パブリックビューイング
- 市民サークル活動
- 地域利用
といった活用も想定されているんですよ。また、防災拠点としての活用や地域の回遊性を高める取り組みも計画されています。
ニュースだけを見ると「学会のためだけの施設」に思えるかもしれませんが、札幌市は地域に開かれた身近な交流拠点として整備していきたいと考えているようです。
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592億円という予算をどう考えるとよいでしょうか
もちろん592億円という数字は、決して小さくはありませんよね。賛成の意見もあれば、慎重に見守りたいという意見もあると思います。
ただ、計画書をじっくり読んでみると、「学会のためだけの施設」というより、「札幌の魅力をフルに活かした新しい交流拠点」を目指していることがよく伝わってきました。
札幌駅から地下鉄一本でいけて、ホテルがあり、豊かな公園があり、文化財もあり、すすきのにも近い。
会議場の中だけでなく、街全体を会場として楽しんでもらう――そんな素敵な発想こそが、この中島公園MICE計画の一番ワクワクするところなのかもしれませんね。
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