■ 札幌地下鉄に冷房がないのはなぜ?
夏になると毎年話題になる、札幌市営地下鉄の「冷房がない問題」。
本州から訪れた人が驚くことも多く、「なぜ札幌の地下鉄はエアコンがないの?」という疑問がたびたび上がります。
実は札幌市営地下鉄は、日本で唯一すべての車両に冷房が設置されていない地下鉄です。
最近は気温の上昇もあり、「車内が暑い」と感じる人が増えています。
それでも冷房が導入されてこなかったのには、札幌ならではの理由があるんですよ。

■ ゴムタイヤ方式がネックに
最大の理由は、地下鉄の構造にあります。
札幌の地下鉄は、一般的な鉄輪ではなくゴムタイヤ方式を採用しています。
この方式は、騒音が少なく振動も抑えられ安定して走行できるという利点があります。
一方で、車両の重量に制限があり、機器の搭載には大きな制約が生じます。
冷房装置は決して軽い設備ではありません。
そのため従来の車両では、スペースや重量の面で導入が難しいとされてきました。
結果として、札幌の地下鉄は長らく送風や換気による「風」で車内環境を整える方式が続いてきたのです。
■ もともとは“風だけで快適”だった
札幌の地下鉄に冷房がなかった理由は、単に技術的な問題だけではありません。
もともと北海道の夏は比較的涼しく、地下という環境もあって、自然な風でも十分に快適とされてきました。
「冷房がない方が体にやさしい」と感じる人も少なくありません。 実際、強すぎる冷房が苦手な人からは、札幌の地下鉄の環境を好意的に評価する声もあります。

■ 近年の猛暑で状況は変化
しかし近年、この前提が大きく変わりつつあります。 札幌でも真夏日(30℃以上)が増え、地下トンネル内に熱がこもりやすくなりました。
その結果、
- 車内が蒸し暑い
- 風があってもぬるく感じる
- 混雑時はまさに“サウナ状態”になる
といった不満が目立ってきています。
これまでの「風でしのぐ」仕組みだけでは、対応しきれない場面が増えているのです。

■ ついに動き出した!冷房導入への具体的スケジュール
これまでは「検討段階」とされてきた札幌地下鉄の冷房問題ですが、2026年に入りついに具体的な導入計画が固まりました。
札幌市は2026年度の予算案に冷房装置の検討・調査費用(約6,100万円)を計上し、本格的な導入に向けて舵を切っています。
気になる「いつから乗れるの?」というスケジュールは、路線によって以下のように計画されています。
- 東西線・東豊線(早ければ2028年度中〜): この2路線を走る車両は、性能や重量に比較的余裕があるため、既存の車両への「後付け」も含めて検討中。早ければ2028年度中にも一部の車両から冷房が使えるようになる可能性があるとのことです!
- 南北線(2030年度にも導入方針〜): 札幌地下鉄で最も歴史が古く、車両の規格も異なる南北線は、後付けが難しい状態です。そのため、2030年度(令和12年度)に予定されている「新型車両への更新」のタイミングにあわせて、冷房付き車両がデビューする方針です。
長年の課題だった「ゴムタイヤの重量制限」や「トンネル内の排熱問題」をクリアする目処が立ち、ようやく具体的なカウントダウンが始まったと言えます。

■ 導入までの「当面の暑さ対策」は?
とはいえ、すべての車両に冷房が行き渡るまでには、まだ数年の時間がかかります。
それまでの間の「応急処置」として、札幌市では以下のような夏の暑さ対策も並行して進めています。
- 南北線の各駅ホームへ、計60台のスポットクーラー設置
- 南平岸〜真駒内間の高架駅を対象とした、暑さ軽減策の調査
- 駅や車内の換気設備の強化
完全に涼しくなるまでの間は、これらの対策や現在の「送風」に頼ることになりそうですがゴールが見えただけでも大きな一歩ですね。
■ まとめ:長年の「当たり前」が変わる過渡期を体験しよう
札幌の地下鉄は、長年「冷房がないのが当たり前」という日本でも唯一無二の個性を持って運行されてきました。
しかし近年の気候変化により、その歴史がいよいよ動こうとしています。
「あの頃の地下鉄は夏になるとエアコンがないから暑くてさ……」なんて昔話をする日が、そう遠くない未来にやってくるかもしれません。
これから数年をかけて少しずつ変わっていく札幌の地下鉄。
これからの変化を楽しみに注目していきたいところです。
札幌クリップをもっと見る
購読すると最新の投稿がメールで送信されます。
