2025年度決算から見えた、暮らしを支える『食のインフラ』の正体」
2026年、札幌の街を歩くと、あちこちで再開発が進み景色が変わっていくのを肌で感じます。
イトーヨーカドーや西友の撤退、そしてロピアやトライアルといった新たなスーパー勢力の北海道進出。
ここ数年、札幌市民の「いつもの買い物風景」は驚くほど大きく変わりました。
そんな変化の激しい札幌の暮らしの中で、今、私たちの「買い物の基準」も大きな転換点を迎えています。
かつての「安さ」や「近さ」だけではなく、「どんな暮らしを支えてくれるか」でスーパーを選ぶ時代へ変わり始めているのかもしれません。
今回は、2025年度の決算発表資料から見えてきた札幌のスーパー勢力図と、売上首位を維持するコープさっぽろの“本当の強さ”を読み解いてみます。

2025年度決算で見る「札幌スーパー3強」の売上実績
まずは、札幌・北海道の暮らしを支えるスーパー各社の現状を、決算数値から見てみましょう。
- 第1位:コープさっぽろ(1,918億9,900万円)
店舗の食品売上のみでこの数字を叩き出し、前年比102.6%と着実に数字を伸ばして、堂々の道内首位をキープしています。 - 第2位:イオン北海道(1,748億2,800万円)
「マックスバリュ」や「フードセンター」などのSM事業と、安さが武器の「ザ・ビッグ」を合わせた数字です。伸び率は106.6%と上位陣で最も高く、猛烈な勢いで首位を追い上げています。 - 第3位:ラルズ(1,621億4,700万円)
アークスグループの中核として、地域密着の安定感で104.6%の伸びを記録。根強い支持を集めています。
このトップ3に加え、最近では圧倒的な安さを誇るトライアル(想定売上:約850億円)が実質4位に食い込むなど、札幌のスーパー事情はまさに戦国時代といえます。
なぜコープさっぽろは北海道首位なのか?「トドック」が支える経営の舞台裏
ここで少し不思議に思うのが、「コープって利益を追求しない団体だよね?」という点です。
コープさっぽろは2025年に創立60周年を迎えました。その長い歴史を支えているのは、「株式会社」とは違うユニークな仕組みです。
コープでは売上を「供給高」、利益を「剰余金」と呼びます。
目的は「誰かを儲けさせること」ではなく、出資者である私たち「組合員」の生活を良くすること。
事業で余ったお金(剰余金)は、新しいサービスを作ったり、地域の活動に使われたりと巡り巡って私たちの暮らしに還元されます。
この「みんなで出し合って、みんなの生活を支える」という堅実なサイクルがあるからこそ結果として3,000億円規模 という巨大な信頼と売上が生まれているのです。

コープさっぽろの屋台骨!宅配事業「トドック」の存在感
実は、コープさっぽろがこれほどまでに安定したサービスを提供できている最大の理由は、宅配事業「トドック」の圧倒的な強さにあります。
1. 全国でも珍しい「宅配メイン」のバランス
一般的なスーパーや生協では、宅配はあくまで店舗を補う「補助的なサービス」であることが多いのですが、コープさっぽろは違います。
なんと、総売上の3分の1以上(約1,000億円!)を宅配が占めているんです。
これは全国の生協と比べても、異常と言えるほど高い比率。まさに、北海道のインフラとして「トドック」が生活に深く根付いている証拠です。
2. 「商品ロスほぼゼロ」が生む、健全なサイクル
なぜ宅配がこれほど重要なのか。その秘密は「1週間前の事前予約システム」にあります。
- 無駄がない: 注文された分だけを届けるため、店舗のような「売れ残り(商品ロス)」がほとんど発生しません。
- 利益を未来へ投資: この「ロスがない経営」で生まれた利益が、実は今日私が行ってきた西野店のような新しい店舗の改装や、魅力的なサービス(無印良品の導入など!)の原動力になっているんです。
「宅配でしっかり支え、店舗で新しい体験を提供する」。 この堅実なサイクルがあるからこそ、北海道でこれほど長く、厚い信頼を築けているのだなと改めて実感しました。
コープさっぽろが「生活インフラ」と呼ばれる理由
コープさっぽろが首位を守り続けているのは、こうした「生活を守る」という姿勢が、買い物以外のあらゆる場面に広がっているからです。
1. 冬の味方「エネコープ」のインフラ力
電気やガス、そして北海道の冬には命綱ともいえる「灯油」の供給。
最近では太陽光発電など環境に配慮したエネルギーシフトも積極的に進めています。
これらをコープにまとめることで、家計の管理がしやすくなるだけでなく、大きな安心感に繋がっています。

2. 暮らしの「もしも」を支える共済と保険
日々の買い物ついでに、将来の備えまで相談できる「コープ共済」。
2026年からも制度が新しくなり、今の時代に合った保障内容で子育て世代からシニアまで広くカバーしています。
3. 子どもたちの未来を作る「給食センター」
コープは今、地域の「食」そのものも支え始めています。
2026年4月からは新たに羽幌町でもスクールランチの提供がスタート。
複数の自治体で給食センターの運営を担っており、巨大な調達力を活かして、子どもたちに安全で美味しい地元の食材を届けています。
▲ コープさっぽろが主催する「畑でレストラン」の様子。 地域の生産者と組合員をつなぐこの活動は、実は給食センターの地産地消とも深く関わっています。以前お邪魔した美唄市での体験記はこちら。
コープさっぽろ「畑でレストラン」美唄市西川農場の「アスパラひつじ」とは?!

4. 資源循環を牽引するリサイクル活動
宅配システム「トドック」の配送網や店舗を活かした資源回収も、札幌の街には欠かせません。
最近では深川市などとも協力し、不要になった服を回収して資源にする「繊維リサイクル」を推進するなど、私たちが買い物をするだけで自然と環境保護に参加できる仕組みが整っています。
まとめ:私たちが「コープさっぽろ」という選択肢を持つ意味
2025年度の決算数値が示す通り、コープさっぽろの「売上首位」という数字の裏には、60年かけて築き上げられた、私たちの生活をまるごと支える巨大なネットワークがあります。
「安さ」で勢いのあるイオンやトライアルも魅力的ですが、コープさっぽろが提供しているのは、買い物の先にある「安心感」や「地域の持続可能性」です。
変わりゆく札幌の街で、どのスーパーを自分の「生活の基盤」にするか。
決算という確かな数字を通して勢力図を見ることで、明日からの買い物が少しだけ違った景色に見えてくるかもしれませんね。
実際、筆者自身も近年の灯油価格高騰をきっかけに、灯油の積立ができるエネコープのサービスに関心を持つようになりました。
北海道の冬は、買い物だけではなく、「暮らしそのもの」を支える力が求められます。
だからこそ、「コープさっぽろ」は単なる「食品を買う場所」ではなく、私たちの日常を支える大切な生活インフラになっているのかもしれません。

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