札幌中心部の再開発で生まれた見上げたくなる建築
札幌中心部では、ここ数年で新しいビルが次々と誕生しています。
その中で印象的なのが、「空間のつくり方」です。
ただ高さを競うのではなく、吹き抜けを大きく取ったり、ガラス面を広く設けたり。
中に入った瞬間に、視線がすっと上へ抜ける設計が増えてきました。
再開発が進むいま、札幌の都心では“広がり”や“余白”を大切にした建築が少しずつ増えています。
今回は、そんな「空間を大事にしている新しいビル」を実際に歩きながらいくつかご紹介します。
木のぬくもりを感じるやさしい空間
札幌中心部のビルでは、素材の選び方にも変化が見られます。
ガラスや金属だけでなく、木の質感を取り入れる空間が増えてきました。
柱や壁の一部、ベンチや天井の仕上げに北海道産の木材が使われています。
ガラスに光が反射する都心の建築のなかで、木の存在はどこかほっとするやわらかさをもたらします。

写真:2024年10月竣工 桑園にある「エア・ウォーターの森」GoogleMAP
「エア・ウォーターの森」は、主要構造体に北海道産カラマツ材を100%使用した4階建ての木造建築です。
都市の中にありながら、木の力強さとあたたかさを感じられる空間になっています。
写真:北海道議会庁舎 GoogleMAP
北海道議会庁舎の内部にも、道産木材がふんだんに使われています。
ガラス越しの光と、縦に連なる木のリズム。
北海道の木を使うことは、単に温かみを演出するためだけではありません。
この土地で育った素材を、この土地の建物に生かす。そんな循環の意識も感じられます。
冬が長い札幌だからこそ、屋内空間の居心地はとても大切です。
木のぬくもりは、寒い季節でもどこか安心できる雰囲気をつくっています。
自然光と照明がつくる、札幌の新しい建築の表情
そして自然光をどう取り込むかも大きなテーマになっているように感じます。
大きなガラス面や吹き抜けを通して、外の光が奥まで届く設計。
昼間は照明に頼りすぎず、やわらかな明るさの中で過ごせる空間が増えてきました。
街並みを感じながら過ごせる場所。光そのものが、空間の主役になっています。
写真:2023年11月に開業したPIVOCROSS GoogleMAP

写真:2023年3月竣工の「さつきた81」GoogleMAP
日中は大きな窓から差し込む自然光。やわらかく広がる明るさが木の表情を引き立てます。
一方で、人工光を印象的に取り入れた建物もあります。

写真:2025年10月に4PLAの地下にオープンしたODORiBA GoogleMAP
ネオンや装飾照明がにぎやかに空間を彩り、光そのものが場のエネルギーを生み出します。
一方で、D-LIFEPLACEはまったく異なる表情。

写真:D-LIFEPLACE GoogleMAP
複雑に交差する階段や壁面を、ライン照明が静かに縁取ります。
光が建築の輪郭を際立たせ、立体感を強調しています。
光の使い方ひとつで、建物の表情は大きく変わります。
人が集まって、空間になる。
建物は、人がいてこそ完成します。
木のベンチに腰をかける人。待ち合わせをする人。少しだけ立ち止まる人。
それぞれの時間が重なり合って、空間ににぎわいが生まれます。

写真:2023年11月に開業したココノススキノ GoogleMAP
地下で駅と直結する施設では、天候に関わらず多くの人が行き交います。
写真:2024年3月に竣工したほくほく札幌ビル GoogleMAP
素材や光の工夫は、この街で過ごすひとときを少しだけ豊かにしてくれます。
再開発が生み出す札幌都心の新しい建築空間
再開発という言葉だけを聞くと、大きなビルの建設ばかりが注目されがちですが札幌都心は、思っている以上に「空間」を大切にしているように感じます。
人は、上を向くとほんの少しだけ前向きになれるものです。
視線が上がると、呼吸も深くなり、気持ちがすっとひらく。
空間は、知らないうちに心にも影響を与えています。
札幌には、そんな瞬間が少しずつ増えているのかもしれません。
もし中心部を歩くことがあれば、少し立ち止まって上を見上げてみてください。
きっと、街の印象が少し変わるはずです。
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