人口は増えていないのに、なぜ札幌でマンションが増えるのか
札幌ではここ数年、分譲マンションが増えていると感じる人が多いのではないでしょうか。
「人口はもう増えていないはずなのに、なぜこんなに建つのだろう」そんな疑問を持つ声も聞きます。
この疑問を考えるヒントになるのが、人口と世帯数を区ごとに分けて見ることです。
札幌市統計書の数字をもとに、令和元年から令和6年までの推移を見ていきます。
まず札幌市全体を見ると、人口は約197万人前後で6年間ほぼ横ばい。
一方、世帯数はこの6年間で約4万世帯増加という状況です。
人の数はほとんど変わっていないのに、住まいの数は必要になっている。
これが、今の札幌の基本的な構図です。
区によって街の変化はまったく違う
次に、区別で見てみます。
中央区と豊平区は、人口・世帯数ともに一貫して増えています。
この2区に共通するのは、
-
地下鉄の利便性が高い
-
病院や商業施設が集まっている
-
冬でも生活しやすい
といった点です。
単身世帯や夫婦のみの世帯が増えやすく、分譲マンションとの相性がとても良いエリアと言えます。
札幌市 区別人口の年次一覧(令和元年〜令和6年)
| 年次 | 全市 | 中央区 | 北区 | 東区 | 白石区 | 厚別区 | 豊平区 | 清田区 | 南区 | 西区 | 手稲区 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 令和元年 | 1,970,401 | 246,361 | 289,324 | 264,800 | 211,522 | 125,918 | 224,003 | 113,362 | 136,639 | 216,068 | 142,404 |
| 令和2年 | 1,973,395 | 248,680 | 289,323 | 265,379 | 211,835 | 125,083 | 225,298 | 112,355 | 135,777 | 217,040 | 142,625 |
| 令和3年 | 1,973,331 | 250,156 | 289,517 | 265,206 | 211,610 | 124,689 | 225,612 | 111,635 | 135,012 | 217,181 | 142,713 |
| 令和4年 | 1,973,011 | 252,606 | 289,644 | 264,626 | 211,115 | 123,490 | 226,323 | 111,131 | 134,478 | 217,498 | 142,100 |
| 令和5年 | 1,969,912 | 253,736 | 288,346 | 263,774 | 211,362 | 122,789 | 227,163 | 110,020 | 133,921 | 217,412 | 141,389 |
| 令和6年 | 1,968,265 | 254,586 | 287,979 | 263,615 | 211,494 | 122,112 | 227,929 | 108,943 | 133,361 | 217,635 | 140,611 |
引用:(札幌市統計書/単位:人)
一方、南区・清田区・厚別区などを見ると人口は少しずつ減少世帯数は横ばい、またはわずかに増加という傾向が見られます。
これは子どもが独立した、高齢者だけの世帯になったなど世帯の中の人数が減っていることを示しています。
つまり、人は減っているのに家の数はすぐに減らないという状態です。
なぜ分譲マンションが増えるのか
ここで、分譲マンションとの関係が見えてきます。
分譲マンションが多く建てられているのは、
-
人口が増えている区
-
世帯数がはっきり増えている区
主に中央区・豊平区・白石区・西区などです。
これは投資や再開発だけが理由ではなく、「便利な場所で、コンパクトに暮らしたい」という生活の選択が重なった結果と考える方が自然です。
下記の一覧では、どこの区も世帯数は増えていますが大きく増えているのは中央区と豊平区というのがわかります。
札幌市 区別世帯数の年次一覧(令和元年〜令和6年)
| 年次 | 全市 | 中央区 | 北区 | 東区 | 白石区 | 厚別区 | 豊平区 | 清田区 | 南区 | 西区 | 手稲区 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 令和元年 | 959,899 | 139,461 | 138,955 | 129,769 | 107,653 | 57,034 | 116,893 | 45,689 | 61,859 | 102,261 | 60,325 |
| 令和2年 | 969,161 | 141,429 | 139,675 | 131,188 | 108,233 | 57,289 | 118,650 | 45,634 | 62,134 | 103,849 | 61,080 |
| 令和3年 | 977,768 | 143,476 | 140,652 | 132,226 | 109,014 | 57,835 | 119,854 | 45,801 | 62,314 | 104,853 | 61,743 |
| 令和4年 | 987,855 | 146,456 | 142,163 | 132,883 | 110,083 | 57,881 | 121,587 | 46,128 | 62,498 | 106,007 | 62,169 |
| 令和5年 | 995,320 | 148,231 | 142,598 | 133,388 | 111,443 | 58,387 | 123,217 | 46,060 | 62,705 | 106,969 | 62,322 |
| 令和6年 | 1,004,350 | 149,825 | 143,768 | 134,530 | 112,637 | 58,724 | 124,917 | 46,047 | 62,993 | 108,226 | 62,683 |
引用:(札幌市統計書・住民基本台帳/単位:世帯)
例えば、創成川通り沿いまたはその周辺にある主なタワーマンションには、以下のようにたくさんの物件があります。
- シティタワー札幌
- パシフィックタワー札幌( こちらは単身者向け賃貸マンション)
- シティタワー札幌大通
- ラフィネタワー札幌南3条
- ザ・札幌タワーズ
- プレミスト札幌ターミナルタワー
「人口減少」だけでは見えない札幌の住まい事情
札幌市の人口は、この数年は大きな変化はありません。
減ってはいるものの急激な減少ではなく、ほぼ横ばいの状態が続いています。
ところが、住宅の数は少しずつ増え続けています。
「人が増えていないのに、なぜ家が増えるのか」
その答えのひとつが、世帯の形の変化です。
日本全体にいえることですが、かつては親と子どもが同じ家で暮らす世帯が一般的でした。
でも今は、一人暮らしや夫婦だけの世帯、高齢の単身世帯が増えています。
同じ人数であっても一つの家に集まって暮らすのではなく、それぞれが別の住まいを持つようになった。
その結果、人口は増えていなくても、必要な家の数は増えていく。
札幌で起きているのは、そうした暮らし方の変化です。
写真:北ガスアリーナとサッポロファクトリーに直結している「ブランズ札幌大通東」
おわりに|数字を並べると、札幌の暮らしの変化が見えてくる
「人口が減っている」「空き家が増えている」
そんな言葉を聞くと、どこか札幌の街全体が元気を失っているように感じてしまいます。
けれど、人口や世帯数を年ごと区ごとに並べてみると、私たちが日々感じている暮らしの実感と重なる部分が多くあることに気づきます。
たとえば、中央区や地下鉄沿線では「マンションが増えた」「昔より人が増えた気がする」と感じる場面が確かにあります。
一方で、郊外では「空き家が目立つようになった」「ご近所の高齢化が進んだ」と感じる人も少なくないでしょう。
人口は大きく変わらなくても、世帯数は増え続けて一人暮らしや二人暮らしが当たり前になってきています。
その結果、
・便利な場所には分譲マンションが増える
・昔の住宅地には、人は減っても家だけが残る
という状態が生まれています。
これは「投資が悪い」「開発が行きすぎている」という単純な話ではなくて通勤や通学、通院、買い物を考えたとき、無理なく暮らせる場所を選ぶ人が増えたというとても現実的な変化です。
数字を並べると、札幌は今「家族で広い家に住む街」から「暮らしやすさを選ぶ街」へ少しずつ形を変えていることが見えてきます。
それは再開発の話だけではなく、私たち一人ひとりの住まいの選択が積み重なった結果なのかもしれません。
とはいえ、分譲マンションの価格が上がり庶民にとっては簡単に手が出せない水準になっているのも確かな現実です。
2024年の札幌市の新築分譲マンション平均価格は約 5,145万円で過去最高価格とのこと。
2025年の数値はもっと上がっているかもしれません。
「住み替えたいけれど、価格を見ると迷ってしまう」そんな声が増えているのも、今の札幌の姿です。
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