大通公園の西8、9丁目のみつながっている理由
大通公園は札幌市民なら誰もが知っている東西約1.5 kmの距離の長い公園です。
花壇や芝生を整備しており、約4700本の樹木がありいつも私たちの目を楽しませてくれます。
その大通公園は、西1丁目から西12丁目から成り立つのですが西8丁目と9丁目の間にのみ道路がないんです。
不思議に思い、その理由を調べてみました。
大通公園の8,9丁目は何がある?!
大通公園はそれぞれの場所にコンセプトがあり形成されています。
・西1、2丁目 → 国際交流ゾーン
・西3,4、5丁目 → 水と光のゾーン
・西6,7、8、9丁目 → 遊び・イベントゾーン
・西10、11丁目 → 歴史・文化ゾーン
・西12丁目 → サンクガーデンゾーン(資料館)
8丁目と9丁目は遊び・イベントゾーンですね。
大通公園の8丁目は広場や花壇があり、両脇にベンチもあるのでゆっくりできる場所です。
8、9丁目のちょうど真ん中には、彫刻家イサム・ノグチ氏の作品で「ブラック・スライド・マントラ」があります。
黒くてカッコイイ滑り台なのでご覧になったことのある人も多いと思います。
本当は、イサム・ノグチ氏の作品はこの後ろに見えるすでにあった白い滑り台、通称「くじら山」を撤去して設置予定だったそうです。
でも、子ども達が楽しそうに遊んでいる様子を見ていたノグチ氏が札幌市の提案を拒否しました。
そしてかつては8丁目と9丁目を分断していた道路の真ん中を指して、
「ここなら置いてもいいね」とおっしゃったそうです。
子ども達を伸び伸びともっと広い空間で遊ばせてあげたいと思ったのでしょうね^^
ところが札幌市としては、当然驚きますよね。
道路を封鎖して芸術作品を設置とは考えられない。
そうこうしているうちにノグチ氏が急病で亡くなってしまいました。
その後、札幌市が彼の生前の意志を尊重して、道路を無くすることに決定し今の様になったそうです。
この空間すべてが、イサム・ノグチの遺作となったわけですね。
「ブラック・スライド・マントラ」は未完成?!
東区にあるモエレ沼公園もイサム・ノグチ氏の作品がたくさんあるアート公園です。
こちらも没後17年もの時間を経て、公共の空間としてオープンしました。
札幌市に多大な影響をあたえた素敵な彫刻家ですよね。
道路を封鎖してしまう彫刻家って後にも先にもいないのではないでしょうか。
子ども達は「くじら山」と「ブラック・スライド・マントラ」を道路を渡ることなく伸び伸びと遊んでいます。
滑り台が二つならんでいても、うまく使い分けてあそんでいますよ。
イサム・ノグチ氏は小さな芸術的な滑り台「ブラック・スライド・マントラ」は黒花崗岩でできているのですが、
「子ども達のお尻に磨かれることによってこの作品は完成する」
と言ったそうです。
子ども達が楽しそうに遊んでいる様子を見るたびにこの素敵なエピソードを思い出します。
子どもに限らず大人もこの黒い芸術的な滑り台を楽しんでみてはいかがでしょうか。