除排雪費用が過去最大
もうすぐ3月に入りますが、まだまだ寒い日が続き雪もたくさん降り積もる札幌です。
札幌市は毎年、雪対策の予算を出しますが2020年度(~2021年3月まで)の予算は220億3400万で過去最大となっています。
引用:札幌市
雪対策と一言でいっても、除雪・排雪・凍結路面対策・融雪施設等様々な内容がもりこまれているんですね。
毎年の様に予算が膨大になっていく大きな理由の一つは人件費増大です。
そしてその人件費増大の大きな理由は、除雪従事者の高齢化と人口減少にあります。
除雪オペレーターはある程度の経験年数を積まないと一定の作業レベルを維持することができないそうです。
熟練技術をもつ除雪オペレーターが、今後は大量に退職を迎えるため今後は札幌の除排雪体制が危ぶまれています。
また少子化のため、新たにその職につく人材を確保することができないことも理由の一つです。
パートナーシップ排雪制度も限界に近い
札幌市では、「パートナーシップ排雪制度」を取り入れ、地域住民・除雪業者・札幌市の3者がそれぞれの役割を分担して協力しながら生活道路の運搬排雪を実施しています。
道路幅10m未満→ 地域と札幌市の双方が費用負担
道路幅10m以上→ 札幌市の費用負担
この「地域の費用負担」が町内会費等になるのですが、こちらも負担増になっており市内の町内会によってはもう限界との声があがっています。
広い道路は札幌市の負担でも、10m以下の道路は地域で負担しなくてはいけないのです。
1キロメートルあたりの地域支払額は49万7600円。(令和2年度)
平成24年度に、1km当たり40万円台になって以来9万円以上がり、1km当たり50万円台が目前に迫っています。
10m未満の道路が少ない地域でも、3km程度で約150万円の負担です。
札幌市の町内会予算は350万円~400万円程度と言われていますので、除排雪に4割から6割が使用されていることになります。
更に、町内会未加入も進み高齢化もあり、解消するにはなかなか難しい問題です。
生活する上での雪対策
☆福祉除雪
高齢者にとって雪かきは重労働です。
福祉除雪という制度もありますが、高齢者に対してボランティアの数が足りていない状態です。
不動産管理会社や建設会社が冬のみ有料で除排雪してくれるサービスもあります。
例として玄関前除排雪1時間2000円から3000円程ですが、除雪ができないお年寄り等にとっては負担増になってしまいます。
☆トラックや小型除雪機の貸し出し
札幌市では、無償で町内会やボランティア団体等に、運搬用トラックや小型除雪機を貸し出したりしています。
個人では借りられませんし、台数もまだ40台とのことです。
更には除雪機を使って作業してくれる人材がいなければ活用できません。
操作は簡単なのかもしれませんが、どのように使用するのかという周知も必要だと思います。
引用:札幌市
☆除雪情報の発信
「札幌除雪情報」のページでは冬期間は、”新雪除雪作業”の出動状況が10分おきに更新されています。
新雪除雪とは、深夜から早朝にかけて新たに積った雪を道路脇にかきわける作業のことで緊急通路やバス路線等を優先して作業を行っています。
「どうして家の前に雪をおいていくの?!」と怒ったり困ったりしている人を見かけますが、札幌市としては大雪が降った際には「除雪が精いっぱいで排雪はできない状態」なんです。
除雪~道路の雪をかき分けて通行可能なスペースを確保する作業
排雪~雪をトラックに積み込んで、雪捨て場へ運ぶ作業
「お家の前の作業は各自でお願いします」ということなんですよ。
また、違法駐車等のマナー違反により除雪車が通れないことも多い様です。
除雪距離は石垣島までの距離?!
札幌市では、およそ5,400kmの道路を除雪していると言われています。
そして、幹線道路や通学路の1,600kmを排雪しています。
札幌の小学生の社会の授業では、”5,400kmってどのくらい?”という疑問に「札幌から石垣島までの往復距離」に相当するとあります。
とてつもない距離の除雪だということがわかります。
限られた予算や人材、除雪車で作業を行っていますが雪が増えているわけではないのに除排雪費が毎年増大とは厳しいです。
でも、札幌市内で大雪が降っても道を通れるのは、この除排雪予算があるからなんです。感謝しなくてはいけませんね。
雪が降らない国の方には憧れにもなりますが、雪国で生活している人にとって除排雪は自然との戦いとも言えます。
雪国に住む限りはいい所も悪い所もうけとめて共存していくしかないですね。