札幌都心部の地下通路拡大の理由
札幌の地下通路は、直線で南北に約1.9キロ、東西に約1.2キロに及びます。
札幌駅北口から大通駅を経て、すすきのまで1900mがほぼ直線でつながっており日本国内で最も直線距離が長い地下通路と言われています。
更に札幌都心全体の地下通路は全長約9キロです。
札幌の地下空間が拡大していくのには、やはり冬場に寒くなり雪が降るというのが大きな理由です。
都心部で冬を快適に過ごし、且つにぎわいを創出する地下空間の形成は札幌市にはもう無くてはならないものとなっていますね。
地下街直結にするビル内の商業施設やホテルは売り上げが伸び、足元が悪い冬場は特に大勢の人でにぎわいます。
都心にある商業施設等に行くには地下街を通れば、信号で止まることなく進めて快適です。
もちろんバリアフリーのため身障者の方やベビーカーにも優しい造りになっています。
少し歩くと憩いの場が点在しており高齢者にもやさしい地下空間となっています。
札幌市は地下歩行空間ができたことにより利便性がよくなり回遊性向上を目指すために、通過地点とするだけではなく広場空間をつくりイベント等も行っています。
民間建物の建て替え時期も重なり、札幌都心で行われている再開発はほとんどが地下通路と直結している案件ばかりとなってきています。
今後の地下通路延伸検討場所
札幌市は近い将来訪れる超高齢化社会や人口減少を見据えてまちづくりを行っています。
歩きたくなる街を実現するために地上・地下の重層的なネットワークつくりに力をいれています。
引用:札幌市都心における地下歩行ネットワーク形成方針案(令和2年度)
・北8条通地下歩行通路(決定)
・西2丁目地下歩行通路
・南1条通地下歩行通路
・南4条通地下歩行通路
札幌都心では上記4カ所が建設予定・検討中となっています。
北8条通地下歩行通路
北8西1の再開発が進められていますが、それに伴って地下通路も延伸させます。
東豊線札幌駅から北に延びている地下通路をさらに北8条側まで通路ができ、北8西1再開発の際にできるマンションやホテルへ直結となります。
2020年12月には劇場ができるニュースもありました。
https://sapporokara.com/2020/07/04/k8n1-2/
西2丁目地下歩行通路
大通駅から創世スクエアまでの西2丁目通路ができたことにより、札幌市役所や札幌図書情報館・文化劇場等へも地下から直結で行けるようになりました。
その西2丁目線のさらに北部分も地下通路が検討されています。
「次はここ?!」と書かれている場所ですが、こちらはすでにかなり前に工事をしていて通路があるという話です。
それぞれ突き当りに通路入口らしきものはあるんですよね。
東豊線さっぽろ駅から創世スクエアまでが接続されると北8条から南6条までの札幌では最長の地下歩行ネットワークが完成します。
ただし西2丁目の通路は地下に東豊線が通っておりそのトンネルとの関係で、高低差があったり狭い空間しか造れない箇所もあり通路のみとなる可能性があります。
南1条通り地下通路
現在は、地下巨大駐輪場を建設している箇所になります。
大通駅35番出口は、長い間閉鎖されていますがこの大型駐輪場ができることにより直結となります。
写真:西2丁目工事看板
最大収容台数が1550台となっており、自転車を駐輪していなくても通り抜けることができます。
狸小路2丁目から雨や雪を気にせず地下から大通駅まで行くことができれば利用者も多くなる通路だと思います。
南4条通地下歩行通路
すすきの駅と豊水すすきの駅を接続する通路と豊水すすきの駅から上記の駐輪場までの通路。
東豊線の建設当時には、すすきの駅に東豊線を乗り入れ予定でしたが反対意見があり別々の駅になった模様です。
引用:札幌市総合都市交通体系調査(〇追記)
もしもすすきの駅前通(月寒通り)地下に通路ができることになれば沿道のビルも再開発が活発になるのではないかと思います。
※北8条、南1条の地下通路はすでに決定事項ですが他は検討中のためその通り実現するかどうかはわかりません。(今後のコロナの影響、札幌経済の状況により変化するかも
札幌の地下通路の歴史
地下通路の始まりは札幌駅前は、1952年に商業施設アピアの前身である「札幌ステーションデパート」の地下街が始まりです。
札幌駅南口再開発が行われた1999年に地下が大改装されてほぼ現在の形ができあがりました。
札幌駅前はその後2003年にJRタワーができ、地下空間も大きくなり地下通路も拡大しました。
写真:地下鉄さっぽろ駅上の通路に2019年にできた「ミナパ」
一方、大通駅には1971年に南北線の整備が行われ大通駅とすすきの駅をつなぐ「地下街ポールタウン」と大通駅とテレビ塔を結ぶ「地下街オーロラタウン」がオープン。
写真:現在のオーロラタウン出入口
札幌駅側と大通駅側とそれぞれで地下街が誕生したため、札幌駅と大通駅の行き来は地上移動のみでした。
札幌駅と大通駅の地下を結ぶためにできた札幌駅前通地下歩行空間(チ・カ・ホ)ができたのは2011年になります。
札幌駅前通にあった電線やケーブルの移設に時間と費用を費やしたことが理由で2009年予定が2011年まで遅延してしまいました。
約520メートルにわたる地下歩行空間ができたことにより、人の流れが大きく変わりました。
今後の札幌のまちづくり
札幌都心の地下通路以外にも天候に左右されない通路としては、空中歩廊もたくさんできています。
JR札幌駅の2駅隣にある琴似駅は、2013年に約1kmの空中歩廊ができたことでたくさんの高層マンションや商業施設ができました。
バスセンター駅前のサッポロファクトリーから札幌中央体育館までの空中歩廊もあり、近隣マンションの魅力の一つとなっています。
現在は苗穂駅前に高層マンションが複数建築中で同じく空中歩廊ができる予定となっています。
地下通路や空中歩廊は今後も再開発に取り入れられていくものと思います。
更に札幌都心に関しては現在検討中地下通路も含め、建て替え予定のビルも多数あることから全長は今後も延びていくことでしょうね。