札幌の景色は70色?!ガイドライン色がまちづくりに活かされる
札幌市には「大規模建築物等色彩景観ガイドライン」というものが存在します。
耳慣れないものかもしれませんが、つまりは札幌市内の景色を調和のとれた魅力的な景観にするためにガイドラインを示しているんです。
札幌にふさわしい色として具体的な色彩を示したガイドライン作成は、全国的にも珍しい試みだそうです。
札幌市には、「札幌市景観審議会」というものがあり、建築・心理・環境・経済・観光等のあらゆる専門家が集まってまちづくりに助言をしています。
市民にアンケートをとったり、ワークショップを開いたりして生活をしている人たちの意見を取り入れて街並みを形成しているんです。
その中でも特徴的だったのが、「札幌の景観色70色」というものです。
札幌の景観色70色は、平成9年(1997年)に作成された札幌市都市景観基本計画に基づいています。
大規模建築物には事前に札幌市と協議をして、この景観色70色を元に色を検討する制度です。
各色には、北海道に関連する名称がつけられていてユニークです。
地域的なイメージをいれており、四季を通して札幌にふさわしい色としています。
表にある、1G「れんが」や2G「生チョコ」等は市民としては親しみをもてますね。
10A「新雪」や7E「ラベンダー」等は札幌の季節を思い描くことができます。
例えば札幌テレビ塔は、鉄骨には「1Fペチカ」展望台には「6G蝦夷松」の色が使われています。
大通西4丁目の石屋製菓が入っているビルは外装の御影石の色が「10D吹雪」です。
建物の他には、橋や大通公園内のベンチの色にも使われています。
普段何気なくみている「景観色」ってこういう風に決められているとは知りませんでした。
ちなみに札幌景観70色のカードゲームや折り紙も販売しているんですよ。
こういった札幌色をガイドラインに盛り込んで建築主や設計者等が共通する認識を持てるようになれば、美しい札幌の景観づくりになっていくとされています。
今後の札幌再開発事業にも大きな影響
今後も大きく変わっていく札幌市内の再開発もこの景観法に基づいて行われます。
歴史、文化的な価値を残しつつ機能性や生活空間としての工夫もしていくでしょう。
札幌市は国際的な交流拠点になる様にということや、環境・防災についても考えてまちづくりを行っています。
更に、自然や緑を守り生かすということもやっていますよ。
一定の条件を満たした緑化の助成金等もあります。
日本で最も都市景観の規制が厳しい自治体は、京都市と札幌市と言われています。
京都は、伝統ある都市なので重要文化財や風土等があり、建物の高さ規制等は厳しそうだなというのはわかりますね。
外国人観光客が京都に行くと、近代的すぎてガッカリすることが多いそうです。
歴史あるお寺がビルに囲まれているのを見て、京都に対してのイメージと違ったことで印象が良くない方にかわってしまいます。
そうかといって暮らしている人のために快適な都市にしていくことも大切なので京都の景観規制は揺れている模様です。
札幌は、観光都市であることや積雪があること、緑が多いことで何とか景観を良いものにしてきたいという思いがあります。
でも、こうやってまちづくりされていることでキレイな景観が保たれているんですね。
今後のまちづくりや景観に期待
札幌の街づくりは「住んでいる人が将来にわたって住み続けたい街」、「地域外の人も住んでみたくなるまち」を目ざしています。
確かに街並みがキレイだと住み続けたくなりますよね。
ただ、いまのところ札幌の景観は、一角にキレイな場所はあるものの個々に点在している感じがして海外のようなまとまった街並みはまだ多くありません。
日本全体でも自然が織りなすもの以外には都市全体がキレイな街並みというのは多くないかもしれません。
個人的には札幌の景観色70色は全体的に淡い色なので、物足りないような気にもなりました。
でも、駅前に急に奇抜なビルができてしまうとそれはそれで嫌ですよね。
そういった面では70色があることで、街の色にホッとできる安心感や安堵感があります。
これからたくさんの大規模再開発が行われる札幌市内ですが、北海道らしい札幌らしい景観になっていってほしいですね。