札幌駅前通地下歩行空間「チ・カ・ホ」開通15周年 静かな開業から始まった札幌の地下革命

チカホ

静かな開業から始まった“札幌の地下革命”

—チ・カ・ホ開通15周年—

2026年3月12日、札幌駅前通地下歩行空間――通称「チ・カ・ホ」は開通から15周年を迎えました。

札幌駅と大通を地下で結ぶこの空間が開通したのは2011年3月12日。

しかしその前日、日本は未曽有の災害に見舞われます。2011年3月11日に発生した東日本大震災です。

当初予定されていた開通記念イベントはすべて中止。

祝賀ムードとは程遠い、静かなスタートでした。

照明も節電のため落とされ、華やかな式典もありません。

それでもチ・カ・ホは、その日から市民の足元を支える都市空間として歩み始めました。

振り返れば、この地下通路は単なる移動路ではありませんでした。

15年の時間を経て、札幌の都心の使われ方そのものを変えた存在になっています。

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チ・カ・ホがつくった冬でも歩ける地下空間

チ・カ・ホ(札幌駅前通地下歩行空間)は札幌駅前通の地下に延びる歩行空間で地下鉄さっぽろ駅と大通駅を約520メートルで結んでいます。

距離だけ見れば、それほど長い通路ではありません。しかし札幌の都市生活において、その意味はとても大きいものです。

札幌の冬は長く、雪や吹雪の日も多い。地上を歩くこと自体が負担になる季節が続きます。

チ・カ・ホは、そうした環境の中でも快適に移動できる「もうひとつの街路」として機能しています。

通勤・通学、買い物、観光。日常の移動が天候に左右されないということは、都市の活動そのものを安定させます。

実際、冬の荒天時には地下へ人の流れが集中しチ・カ・ホは札幌都心の“安全な動脈”のような役割を果たしています。

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なぜ札幌に地下歩行空間が必要だったのか

チ・カ・ホが整備された背景には、札幌の都市構造が抱えていた課題がありました。

札幌駅と大通の間は、札幌の中心を結ぶ最も重要な区間ですが、地上では信号が多く冬は雪や凍結で歩きづらい環境にありました。

歩行者の安全確保や快適な移動環境の整備は、長年の都市課題でもあったのです。

そこで計画されたのが、札幌駅前通の地下に歩行空間を整備するという構想でした。

単なる地下通路ではなく、沿道ビルとの接続やイベント空間の設置など、都市の活動を支える公共空間として設計されたのが特徴です。

地下に人が歩ける“もう一つの街路”をつくることで都心の回遊性を高める狙いがありました。

実際、開通後には沿道で再開発や民間投資が進み、都心の歩行環境は大きく変化していきます。

チ・カ・ホは、単なる移動路ではなく札幌の都市づくりの一部として生まれた空間でもあるのです。

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地下に広がった都市ネットワーク

チ・カ・ホの価値は、単独の地下通路というだけではありません。

開通後、沿道ビルとの接続が次々に増えました。札幌駅から大通まで、地下空間は徐々に“街”として広がっていきます。

現在では多くのオフィスビルや商業施設と直結し、地下だけでかなりの範囲を歩けるようになりました。

地上の通りに対して、地下にももう一つの歩行ネットワークが形成された形です。

この変化は、都心の回遊性にも影響を与えました。

歩きやすくなったことで人の回遊範囲が広がり、沿道では再開発や民間投資も活発化しました。

地下の一本の通路が、都市の動き方そのものを変えていったとも言えるでしょう。

実際、開通後には沿道で再開発や民間投資が進み、都心の歩行環境は大きく変化していきます。

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「通路」から「広場」へ

チ・カ・ホを歩いていると気づくことがあります。それは、単なる通路ではないということです。

中央部にはイベントスペースがあり、物産展やPRイベント、アート展示などが行われています。

昼休みには立ち止まる人が増え、帰宅時間には人波がゆっくりと流れる。

人はただ通り過ぎるだけではなく、ここで少し立ち止まり、何かを見て、また歩き出す。

地下空間でありながら、そこには確かに“街の広場”のような空気が生まれています。

敷島ビル

人の流れが見える都市

チ・カ・ホには、人の流れを計測するセンサーが設置されています。

札幌駅側と大通側に設置されたセンサーが、歩行者数を方向別にカウントし、15分ごとのデータとして記録しています。

このデータは札幌市のオープンデータとして公開されており、誰でも閲覧することができるんですよ。

数字を見てみると、都市のリズムが浮かび上がります。

朝は札幌駅から大通へ向かう流れが増え、夕方になるとその流れが逆転します。

イベントが行われる日には大通側の人の流れが増え、冬の荒天時には地下の歩行者数が増える。

普段私たちが「なんとなく感じている街の動き」が、数字として可視化されているのです。

チカホ

非常時に機能した都市空間

2018年の北海道胆振東部地震では、チ・カ・ホは帰宅困難者の一時滞在スペースとしても活用されました。

大きな地下空間が都心にあることは、災害時の安全確保にもつながります。

普段は賑わいを支え、非常時には人を受け入れる場所になる。

都市にとってこうした“余白”の存在は、実はとても重要です。

ベンチ

15年後の札幌、そしてその先へ

現在、札幌駅周辺では大規模な再開発が進んでいます。さらに北海道新幹線の札幌延伸も控えています。

人の流れはこれからさらに増え、都市の動き方も変わっていくでしょう。

そうした未来の札幌において、チ・カ・ホは駅と都心を結ぶ重要な歩行軸であり続けるはずです。

地下空間は静かですが、そこには確かな都市の動きがあります。

開通当時はまだ接続していなかったビルも、いまでは地下でつながり、街の歩き方そのものが少しずつ変わってきました。

静かな地下に流れる、札幌の時間

開通の日、チ・カ・ホに華やかな祝賀イベントはありませんでした。

東日本大震災の翌日という状況の中で、この地下通路は静かに歩みを始めたのです。

それから15年。通勤や通学、買い物や観光など、数えきれないほどの人がこの場所を歩いてきました。

毎日通る人にとっては当たり前の通路かもしれません。

再開発が進み、街の景色が変わっていく中でも、チ・カ・ホは変わらず人の流れを受け止め続けています。

雪の街・札幌に生まれたこの地下の歩行空間は、これからも静かに確実に都市の暮らしを支えていくのでしょう。

今日もまた多くの人がこの地下を歩いています。チ・カ・ホの物語は、まだ続いています。

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札幌市の再開発の状況や、建物や空地の土地情報、新店舗等に札幌の色々な話題を発信していきます。 建築知識のない素人なので難しい建築用語はなく簡単な言葉で書いております。 新しい建物や店舗、公園やシンボルとなるような建物はつい目がいってしまい、色々と情報を得てはワクワクしています!