道内建設業の人手不足深刻化
人口減少の影響により様々な業界で人手不足が問題視されています。
建設業も例外ではなく、深刻化する状況になっています。
建設業界の人材不足は近年は慢性的な問題となっていました。
大きな原因としては、「働き手の減少と高齢化」「建設業の需要拡大」「給与水準の低さ」「円安による外国人労働者の不足」等複数あげられます。
札幌の再開発はたくさんの場所で進んでいますが、すでに影響がではじめているようです。
建設業全体の就業者の減少と高齢化
国土交通省の資料によると2021年度は建設業就業者の55歳以上の割合が35.5%に対し、29歳以下が12%ということです。
全産業の中でも建設業では特に若年層が不足していることがわかります。
また、60歳以上は25.7%占めており引退する方がたくさんでてくるとなお人手不足となっていきます。
若者が建設業につきにくくなっているのは、屋外や高所での作業が多く危険であることや天気に左右されること、体育会系の雰囲気が強いこと等で敬遠されています。
若い人の新規雇用を促進できないことで中高年が長く働き続けるため
「働き方改革」ということで長時間労働の問題も改善されつつありますが、長時間働ける人が少なくなるとその分人手が足りなくなることにつながります。
更には、ご存じのように円安による影響で外国人労働者の賃金メリットが薄らいでしまい、建設業労働者が減少してしまっています。
2024年4月からは時間外労働時間に罰則付きで上限が設けられるようになり、建設業は労働環境の課題を解決しなければならず、「建設業の2024年問題」といわれています。
建設業の需要拡大
一方で建設業の需要は拡大しています。
札幌市内を見てもわかりますよね。
クレーンがたくさんあってあちらこちらで工事が進められていますよね。
需要の高まりに対して人材供給が間に合っていないという状況。
企業側も手をこまねいているわけではありません。
問題をかかえつつも就業者を増やしていけるように女性が働きやすいように環境を整えたり、AIやICTを導入して自動化や生産性を向上させたりして少ない人数でも業務をこなせるような仕組みづくりをしています。
各企業は待遇改善して人材確保を画策していますが、資材価格も高騰しており利益が圧迫され賃上げには踏み込めない企業がたくさんあるんです。
札幌の再開発にも影響あり
北海道内でも人手不足はすでに深刻化しており、工事量の増加に追い付いていない企業もでてきています。
新規工事予定だった場所が、前の建物を解体したままになっている状態も複数あります。
北海道は雪がない春から秋に工事が集中するので、人手が少ないからといって工期を長く取ればコスト増を招くという悪循環がうまれます。
建設コストに人件費も高騰で顧客への価格転嫁もむずかしい状況。
下請け企業が条件をみて仕事を選ぶ状況なんですって。
仕事を断ることもあるということは、当初見込んでいた工期から後ろ倒しになる現場も複数でてくることになります。
まとめ
1つの建物を建てるのにたくさんの方が関わっていることはわかってはいましたが、ここに人口減や働く建設業の方の高齢化の影響があるということをあまり考えていませんでした。
札幌はどんどん街並みが変わっていきますが、より住みやすく便利にするためにたくさんの方の労働力があることを認識したいと思います。
暑くなる時期になりますが、雪が降らない今のうちが建設業の忙しくなる時期です。
建築に携わる関係者のご安全と発展を応援するべく陰ながら祈りつつ、今後も札幌の再開発情報を発信していきたいと思います。
写真:4プラ解体時