北3条西12丁目にあったスーパー銭湯「極楽湯」の跡地では現在、マンションと商業施設を主とした再開発が進んでいます。
地下鉄西11丁目駅に近く、桑園駅や札幌駅へも徒歩圏内という高い交通利便性を備えた立地は、札幌中心部の新たな居住・生活拠点として注目されています。
周辺には緑地も点在し、都心でありながら自然環境と共存するエリアです。
かつて“日常の憩いの場”だった場所は、今、都市型の住宅と商業機能を併せ持つ空間へと姿を変えつつあります。
極楽湯跡地の再開発が、このエリアにどのような変化をもたらすのか、その現在地を見ていきましょう。
写真:解体済みの極楽湯(2019年頃)
「極楽湯さっぽろ弥生店」跡地再開発
北3西12地区は、植物園も近く自然豊かな環境ですし、西11丁目駅まで徒歩9分、札幌駅まで徒歩13分程でアクセスも良好です。
こちらに建設中なのはマンションと商業施設になります。
マンションはEAST棟とWEST棟に分かれており、それぞれ分譲マンションと賃貸マンションになります。
●EAST棟-分譲マンション「ザ・ライオンズ札幌植物園 YAYOI GARDENS」で15階建て83戸
胸部のエントランスホールは天井高約5mの2層吹き抜け構造です。
ミニ大通公園を情景に南北に大きく開かれた明るい空間になっています。
こちらは完売ですでに入居もはじまっています。
引用:JR北海道
●WEST棟-賃貸マンション「ジュノール札幌植物園」で14階建て78戸
入居開始は2026年2月1日からとなっています。
引用:JR北海道
●商業施設はWEST等にあり、サツドラ、タリーズ、エニタイムフィットネス等が入ります。
クリニックモールや薬局もあり生活の利便性も高くなります。
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引用:JR北海道
商業施設は2026年2月上旬より随時開業予定です。
かつて都心の中にあった“日常のぬくもり”「極楽湯」
極楽湯は、2003年開業の「さっぽろ弥生店」(中央区北3条西12丁目)と、2005年開業の「さっぽろ手稲店」(手稲区前田2条13丁目)の2館を展開していました。
しかし両館とも、2021年夏に惜しまれつつ閉館。
観光施設でも高級スパでもなく、仕事帰りにふらりと立ち寄ったり休日に何も考えず体をあずけられる――そんなごく普通のスーパー銭湯として、多くの市民に親しまれてきました。
特に週末には駐車場がすぐに埋まるほどの人気で、突然の閉店は当時には大きな話題となりました。
その後、2022年には既存建物の解体が行われ、跡地を惜しむ声が多く聞かれました。
写真:閉店後の極楽湯さっぽろ弥生店
極楽湯閉館の背景とJR北海道の事情
極楽湯2店舗の閉館は、設備や建物の老朽化という理由です。
銭湯は他の建物と違って大量のお湯や配管の腐食等があり運営が大変です。
極楽湯を運営していたいのはJR北海道の100%出資子会社「北海道キヨスク」。
同社がホテル事業・スーパー銭湯事業から撤退する方針を示したことに加え、建物の老朽化も重なり閉店に至ったとされています。
コロナ禍において客数が落ち込んでしまったことも少なからず影響しているものと思います。
そしてお分かりかと思いますが、JR北海道のグループ会社の土地ということなんですね。
ここでJR北海道の懐事情を考えてみると・・
パセオ閉店、エスタ閉店、地方路線廃止等の赤字・・このままではいけないというのが本音でしょう。
札幌駅前再開発にも先行投資していますしね。
JR北海道は、苗穂駅前の「ザ・グランアルト札幌苗穂ステーションタワー」からマンション事業に参入しています。
グランアルト苗穂は大京、住友、JR北海道の3社による建設なのでノウハウを吸収してJR北海道の土地に新しく建てられるマンションに活かしていくという感じだったのでしょう。
今後もJR北海道がもっている遊休地が新しく活用されていく可能性は大きいです。
まとめ
再開発は、街を前に進めるために必要なプロセスです。
一方で、極楽湯のような場所が果たしてきた役割である人を癒やし、日常を支えてきた機能は数字や図面には残らないですよね。
だからこそ、再開発の節目にその記憶を書き留めておくことには意味があると感じます。
極楽湯跡地はいま、都心居住と日常利便が交差する新しい街へと生まれ変わっています。
分譲マンション名に「YAYOI」を残した点には、再開発の中でもこの場所の歴史を受け継ごうとする意図が感じられ、わかる人にはその背景が伝わるでしょう。
北3条西12丁目の再開発は、未来への一歩であると同時に過去から現在へと続く札幌の暮らしの延長線上にあるのではないかと考えています。
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