※この記事は、
駅前や大通の再開発エリアから少し離れた場所に、ひとつの新しい建物が誕生しました。
高層ビルが次々と建設される札幌の中で(関連記事)、あえてその流れから距離を置くような立ち位置です。
2026年1月に本格稼働を始めた日建設計 北海道オフィスです。
地上3階建て。
高さで目を引いたり、強い個性を主張する建物ではありません。
けれど今、このビルは建築や環境の分野で静かに注目を集めています。
理由は、見た目ではなく「中身」にあります。
札幌・日建設計の新ビルとは?静かに注目される理由
高層ビルやガラス張りの建物が増える札幌の中で、この建物はあえて高さを追っていません。
それでも注目される理由は、この建物が「これからの基準」を示しているからです。
北2西14に竣工した日建設計の新社屋。
建物の工夫だけで使うエネルギーを75%以上削減!😳
雪と寒さのある札幌で、ここまでやる建築がかっこいい😃
撮る角度により光と影が変わり美しい建物です😍#札幌 #建築 #ビル pic.twitter.com/PFlf4hvrfi— しょーこ@札幌クリップ (@kotton105910) January 30, 2026
エネルギー75%削減とは?Nearly ZEBをわかりやすく解説
この建物の大きな特徴が、「エネルギー消費を75%削減している」という点です。
これは「Nearly ZEB(ニアリー・ゼブ)」と呼ばれる基準で一般的な建物と比べて大幅な省エネを実現しています。
ただ、省エネと聞くと我慢をイメージする人も多いかもしれません。
ですが、この建物は違います。
例えるなら、魔法瓶のような構造。
一度あたたまった空気を逃がさず、外の寒さの影響も受けにくい。
そのため、過剰なエネルギーを使わなくても室内は自然と快適な状態が保たれます。
なぜ札幌で実現が難しいのか?寒冷地ならではの課題
札幌は冬が長く、暖房に多くのエネルギーを使う街です。
全国的に見ても、省エネ建築を実現するには不利な条件がそろっています。
多くの建物は太陽光発電などで「使った分をつくる」ことで調整します。
一方、この建物は発電に頼るのではなく、建物そのものの性能によってエネルギー削減を実現しています。
ここが、大きな違いです。
なぜ省エネでも快適?インナーテラスと自然エネルギーの仕組み
その仕組みのひとつが、西側に設けられたインナーテラスです。
屋外と室内の中間にあるこの空間は、季節によって役割を変えます。
冬は日差しを取り込み、室内をやさしくあたためる。
夏は熱を逃がし、風の通り道になる。
さらに地下水の安定した温度も活用しながら環境を整えています。
エアコンが頑張るのではなく、建物が先回りして環境をつくる設計です。
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引用:日建設計
木造オフィスはなぜ注目?北海道産トドマツを使った理由
この建物では、北海道産のトドマツが使われています。
しかも、内装ではなく建物を支える構造材として採用されているんです。
これまで難しいとされてきた木造オフィスを技術によって実現。
さらに、伐採から建設までを道内で完結させることで地域資源を循環させる仕組みも取り入れています。
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引用:日建設計
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札幌で印象に残る建物とは?静かなのに目を引く理由
昼間、この建物はとても静かです。
街並みに溶け込み、強く主張することはありません。
けれど、夜になると印象が変わります。
室内の光がやわらかくにじみ、木の構造が浮かび上がる。
強く主張するわけではないのに、なぜか目を引く。
光がやわらかくにじむその佇まいは、この建物の思想そのものです。
「寒いから仕方ない」という前提を、技術と設計で乗り越える。
このビルは、ランドマークではありません。
けれど、札幌のこれからを考えるうえでのひとつの“基準”になる存在になりそうです。
参照資料: 日建設計 プレスリリース(2026年1月29日)
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