歴史ある青果問屋の石蔵
サッポロファクトリー近くに石蔵があるのはご存じでしょうか。
1931年(昭和6年)に札幌軟石で建てられた八百屋問屋の貯蔵庫だった場所なんです。
倉庫やカフェ等と姿を変えながら街のシンボル的な存在になっているようです。
入口に「青果輸出入問屋」の文字がありますね。
この札幌軟石で造られた建物は、元の建物を解体したのちに、補強処理をしたその石でまた再建したものなんですよ。
現在はギャラリーとなっており様々な展示会や音楽会等のイベントに活用されているようです。
北海道教育大学による「アーツ&スポーツ文化複合施設(通称HUG)」として2015年から使用されています。
石造りの建物は防音機能もあるので、スポーツ観戦や映画上映会なんかにもいいですね。
階段横や2階には青果輸出入問屋だったころの看板等があり、歴史を感じられるところも素敵です。
マンションと一体型の石蔵
さて、この石蔵の何が不思議なのかというと・・マンションと一体になっているというところです。
2013年にマンションの建設をする時に青果輸出入問屋の創業者のお孫さんが石蔵を残したいという要望で、マンションに併設する形で復元されました。
内部の梁や引き戸、手すりなども当時のものが使われているそうです。
札幌における歴史的建造物再生の建物ですね。
札幌の住宅街にありながら、ちょっとタイムスリップしたような雰囲気は何だか新鮮で心地よいです。
マンションと石蔵の接続部をみるとつながっているのがわかりますね。
札幌軟石の建物
札幌市内をはじめ小樽市にも札幌軟石を使用した建物がたくさんあります。
札幌軟石は火砕流の噴出物が固結したもので、札幌市南区にかつての採石場がありました。
現在は砕石場跡として藻南公園や石山緑地となっています。
きめが細かく適度な硬度で、柔らかいため切り出しが容易、軽く保温性が高いことから開拓使が利用を推奨し次々と建物が建てられていった経緯があるようです。
昭和30年以降にコンクリートが登場し、利用は激減して現在に至ります。
小樽運河の倉庫群や札幌市資料館等も札幌軟石でできていますし、札幌市内の各所に使用した建物があります。
まとめ
古い建物は壊してしまうと、もう二度と建てられないものです。
でも、この石蔵の様に解体した時の札幌軟石を再利用して強度を補強して再建することができるんですね。
札幌軟石という扱いやすい石だったからできたことなのかもしれません。
札幌にお住いの方であれば、案外身近に札幌軟石を使用した建物がにあるかもしれないですよ。
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