JRで「SAPICA」が使用できないのはなぜか
札幌に住んでいて交通系ICカードというと「Kitaca」と「SAPICA」の2枚という方がほとんどだと思います。
地下鉄では、KitacaとSAPICAの両方が使えるのに、JRではKitacaしか使用できません。
これは、とても不便に感じますよね。
何が違うかというとズバリ、
「札幌交通局のSAPICAが市民への還元率等のサービスを優先し、早くに独自路線を選択してしまった」
というところにあります。
どういうことなのか見ていきましょう。
札幌地下鉄の自動改札機はかつては最先端だった?!
札幌の地下鉄は1972年の札幌冬季五輪に向けて1971年に開通しました。
1971年12月に南北線 北24条駅から真駒内駅が開通。
当時は日本最先端の自動改札機導入となり話題となった模様です。(初乗り30円!)
わずか一か月半後の1972年2月に札幌冬季五輪が開催されています。
1992年には10%~15%還元の地下鉄専用のプリペイドカード「ウィズユーカード」を発行(2020年に終了)
1999年にはICカードの実証実験が札幌で行われ「S.M.A.Pカード」が発行されました。
全国の中で一番早く札幌で非接触型交通系ICカードの実証実験が行われていたんですね。
S.M.A.Pカードは、SAPICAを導入する前のテストとしてソニーが開発した「Felica 非接触技術」を導入しました。
※Sapporo Multi Access Port の略
Felicaのいいところは、データを格納して、事業者がカスタマイズできるところにあります。
だからポイント還元も可能なんですね。
SAPICAカードは2009年からスタートし、ウィズユーカードでの還元が大きかったこともあり、そのままSAPICAにもポイント還元10%となりました。
市民へのサービス優先での独自路線を歩んだのがSAPICAカードということになります。
一方、JR北海道はJR東日本が首都圏で2001年から導入し始めたサイバネ規格準拠のICカード乗車券を札幌に導入したのは2008年。
他の地域の導入に合わせた形です。
札幌地下鉄では2013年にKitacaも使用できるように改札機のシステムを改善しました。
しかし、JR側はSAPICAを使えるようにするには莫大な費用がかかるということで現在も使用できない状態です。
引用:STV NEWS
STVさんのニュースでは鍵が違うと説明されていました。
なるほど、わかりやすいかもしれないですね。
「札幌交通局は早くに最新式を導入しすぎ、ガラパゴス化」してしまったというのが結論です。
だからKitacaエリアでは、全国のSuica、PASMO、TOICA、manaca、ICOCA、PiTaPa、SUGOCA、nimoca、はやかけんは使用できますが、SAPICAは使用できないのです。
SAPICAのメリット
SAPICAが独自路線を歩んでしまったというお話をしてきましたが、もちろんメリットもあります。
それはやはりポイント還元です。
コロナ禍で乗車率が減ったのもあり、2022年10月からは還元率が10%から3%となりました。
10%還元の恩恵はかなりありましたが、3%還元もないよりはいいですよね。
他には、セイコーマートやサツドラでSAPICA決済を使用すると0.5%(200円で1ポイント)が付与されます。
セイコーマートではPECOMAカードがありますし、サツドラもEZOKAカードがありますのでポイント二重取りも可能です。
更にSAPICAカードをオートチャージにすればクレジットカードのポイントも付くので三重取りとなります(クレジットカードの種類によりますが)
このように地元企業とタッグを組んでいるため、SAPICAは手放せないカードとなっているんですね。
まとめ
市民の利便性を優先し独自路線ではありますが、市民や地下鉄・バス利用者に優しいSAPICAカード。
SAPICAと同様に独自路線を歩んでいた交通系ICカード「PASPY(パスピー)」(広島)も2025年3月でサービスが終了するとのことです。
(※札幌SAPICA(運用枚数200万枚)と広島PASPY(運用枚数約190万枚)と似ているので引用しました。他カードも孤立化はある模様です。)
よって、SAPICAはIC交通系カードの中では孤立化する形になります。
JRの改札読み取りを改修しないとJRでSAPICAは使用することができないので、これは難しいと思われます。
相互利用できないのは不便と感じることもありますが、せっかく色々とメリットがあるのですからうまく使い分けてSAPICAを使用していきましょう。
ちなみにサピカという名称は
「サッと取り出して、ピッと利用できるSapporo(さっぽろ)のICカード」
から名付けられているそうです。