トンネル掘削ででる対策土とは
2029年度に完成予定の北海道新幹線札幌駅ですが、延伸をめぐりトンネル工事で発生する土砂の受け入れ場所が確保できず、一部の工事が中断している状態です。
札樽トンネル工事で、掘削した時に発生する土に有害物質等を含む「対策土」があることがわかったため受け入れ先の住民の合意を得る必要があります。
※対策土とは「土壌汚染対策法に規定されている土壌溶出量基準または土壌含有量基準を超える自然由来の重金属等を含むもの」
対策土の受け入れ場所は、
「面積がある程度広い」
「搬入に使える道路が近くにある」
「地元住民の合意が得られる」
「不溶化処理や遮水などの対策工を施せる」 等の条件があります。
受け入れ候補地の説明会について
札幌市では、候補としてあがっていた一定程度の面積を有している厚別区の山本地区と手稲区の金山地区に定め、7月末に説明会を行ないましたが、参加した住民からは反対意見や不安視する声が多く合意は得られませんでした。
自分の住んでいる地域にヒ素や重金属等が含まれている有害物質を受け入れるなんて・・どこの地域も即O.K.を出すわけがありません。
説明会では専門的な説明が多く、責任の所在がわかりにくいという意見もありました。
また、「自然由来だから問題ない」という説明があり、ではなぜ受け入れに住民の同意が必要なのか混乱する方もいたようです。
札幌市のみならず、小樽市でも対策土の受け入れについては検討しており「面積が約5万m2ある塩谷4丁目の市有地」にとあげていますが、こちらも住民からの合意は得られていません。
素人がわからない専門的な説明会ではなく、もっとわかりやすく「もしも土砂災害が起こってしまった場合」「大雨が降った場合」「地震が起きた場合」等、レベル別に影響があるのか阻止できるのか、もしも阻止できなかった場合の責任の所在や保証等について話されるべきではないでしょうか。
健康被害や水への影響等、周辺の住民の生活に関係のあることを中心に説明会を行ってほしいと思います。
札樽トンネルの概要
「札樽トンネル」は、新小樽駅から札幌駅間の約26.2キロです。
小樽市の朝里川温泉付近から札幌市中央区北6条西10丁目の石山通り付近までが筒状のトンネルとなります。
札幌・新函館北斗間では、渡島トンネルに続く2番目の長さです。
トンネル区間が80%となる北海道新幹線札幌駅延伸2030年完成の行方は、いまのところこの対策土にかかっています。
現在で約半年近く遅れているとのこと。
2019年中に対策土の受け入れ先が決定しなければ、2030年度の完成は難しい模様。
まとめ
そもそも北海道新幹線札幌駅までの延伸は、2012年(平成24年)には2035年開業予定ということだったんです。
それが、5年前倒しとなり2030年となりました。
この時点で、素人の私はそんな簡単に前倒しできるものなのか?という疑問はありましたが、やはりこれが性急すぎたのではないかと思います。
追い打ちをかけるように札幌の秋元市長が
「2030年の冬季オリンピックを目指すということになると、新幹線札幌駅開業を2029年中に実現することが必要」
と発言したことで、拍車がかかりました。
当たり前ですが、工事の中断が長引くと開業時期にも影響がでます。
札幌市に新幹線が開通するのはうれしいですが、2030年の冬季オリンピックはまだ決まりではないですし、それとは別の考えのもとで慎重に進めていくことも一つの手段ではないかなと思います。