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丘珠空港の滑走路延長で活路を見出せるか、いままで増便できなかった理由とは

滑走路

丘珠空港の滑走路延長

札幌市東区にある「丘珠空港」は、北海道内航空のネットワーク拠点となっている場所です。

観光は主に新千歳空港がメインになりますが、丘珠空港は医療やビジネス路線、生活路線にも活用されています

場所は札幌市内なので、札幌都心部からも約6キロと近いです。

この丘珠空港を利活用していくため札幌市や北海道を中心に様々な案があがっていましたが、2023年7月末に札幌市は滑走路の延長をすると発表しました。

現在の1500mから1800mに延伸し、2030年の使用開始を目指すとのこと。

発着便は1日当たり今の倍の70便程になると想定。

年間の旅客数は現在の約3倍の100万人になると見込んでいます。

丘珠着陸

丘珠空港が増便できなかった理由

丘珠空港は利便性がいいにもかかわらず、なぜいままで増便ができなかったのか、大きな理由を5つあげてみます。

1.滑走路が短い

現在の滑走路は1500mあります。

これを通年運航できるのはプロペラ機だけなんです。

JALやANAの航空機のような100席以上のジェット旅客機が日常的に発着するには難しい長さです。

一般的にジェット機が通年離発着できるとなると2500mは必要なんですって。

でも、今回延長が決まった1800mになれば、小型ジェット機の通年運行ができるようになります。

制限はありますが、いままでよりもステップアップできるといえます。

滑走路

2.騒音問題

丘珠空港周辺には住宅地があるので、周辺住民の方の理解が必要になります。

現在の運行時間は7:30~20:30ですが、本格空港とするのであれば運用時間の拡大が見込まれます。

騒音については実証飛行をして周辺地点を決めて測定をし市民説明会等を行っています。

現在の生活環境を守りつつ丘珠空港を航空ネットワークの拠点として利活用していくために力をいれているのがわかりますね。

また、丘珠空港は自衛隊駐屯地の一部であり、空港を共用していることで便数の制限もあります。

3.積雪による除雪問題

丘珠空港は札幌市内でも積雪の多い場所にあります。

飛行機の発着は、雪に影響されるので除雪や排雪作業が必要になります。

これにも時間がかかり費用もかさみます。

4.丘珠空港までの交通機関

札幌市中心部から丘珠空港までは、地下鉄とバスを乗り継いでいかなくてはいけません。

最寄りの市営地下鉄東豊線栄町駅から丘珠空港までは約1.8kmあります。

アクセス改善をする公共交通機関が必要になりますよね。

地下鉄栄町駅から東豊線を延長という話も聞きますが、それには2030年目標の年間100万人利用どころか300万人が訪れないと採算がとれないとのことです。

5.空港面積や空港ターミナルのキャパ

空港面積が小さいことから駐機スペースや格納庫のスペースが限られてしまうという問題もあります。

また、利用者が増えると現在の空港ターミナルビルの広さでは足りなくなってしまうので当然建て替えを考えていかなくてはいけません。

混雑時には駐車場(367台)に車が止められず、1か所しかない保安検査場前には長い行列がでいているようで不満の声があがっています。

 

このような問題点があるため思うように利活用できない状態にあるんですね。

札幌市が丘珠空港の利活用を決めた理由

札幌市が丘珠空港の利活用に腰をあげた理由は、2020年から北海道内7空港の民間委託が決定したことから検討しはじめたと考えられます。

7空港とは新千歳空港、函館空港、釧路空港、稚内空港、旭川空港、帯広空港、女満別空港です。

新千歳空港は2020年1月に民営化がスタートしたものの新型コロナウイルス感染拡大の影響で発着便が激減し苦しい状況が長く続きました。

回復傾向にはありますが黒字が続いていた新千歳空港まで大変だっただけに、丘珠空港も打開するための布石として滑走路の延長を取り決めたのではないかと思います。

空港名は丘珠を「おかだま」と読めない人が多く認知されにくいのではないかということで「札幌空港」「札幌時計台空港」「初音ミク空港」なんていう案も過去にはでていたようです。

全国には「鳥取砂丘コナン空港」「高知竜馬空港」「出雲縁結び空港」などユニークで面白いネーミングで集客している空港も多いのでそれもありかもしれません。

民営化の対象外のとなる空港も維持・存続していくために、何か案を練らなくてはいけないということですね。

新千歳空港より近くても利用が少ない丘珠空港

丘珠空港路線先にお住まいの方やその家族、またはビジネス利用される方は丘珠空港になじみがあるかもしれません。

でも、それ以外の方は札幌に住んでいても利用したことがないという方も多いのではないでしょうか。

どうして丘珠空港は新千歳空港より近いのに、もっと便数を増やせないんだろう・・とは思っていましたが今回のことを調べるまで問題点があることを知りませんでした。

また、丘珠空港がビジネス、生活路線、観光需要、医療、防災等様々な機能を持っていることを知りました。

メディカルウィングも発着しているそうです。

(※メディカルウィング=患者搬送用の固定翼機、道民の命を守る航空機)

丘珠空港の役割

引用:札幌市

航空機の性能があがり、騒音レベルは低下してきていますし必要滑走路も短縮傾向にはあるそうです。

様々な問題をクリアできれば、丘珠空港からの航空機増便につながっていくと思います。

札幌都心に近い場所にあるけどなかなか行かない丘珠空港。

今後はもっと身近に利用できる空港に変化するかもしれませんね。