2025年、札幌の街に起きていた静かな変化 ~工事中の風景が日常になった一年~

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静かに動いた一年

2025年の札幌再開発を振り返ると、「大きな建物が完成した年」というよりも、街の使われ方が静かに変わり始めた一年だったといえます。

工事中の仮囲いが増え、用途を変えながら使われ始めた場所や建物も目立つようになりました。

工事現場にも工夫がされ囲いに絵が描かれたり、イベントスペースとして使用されたりした場所もありました。

そんな中でも作業は進み、派手さはなくても確実に次の札幌へ向かう準備が進んだ一年のように思います。

この記事では、2025年の札幌再開発の「変化の途中」に注目して振り返ります。

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2025年の札幌再開発に見られた3つの特徴

2025年の再開発には、いくつか共通する傾向がありました。

ひとつ目は、多くの大規模開発が「完成」ではなく工事・準備段階にあったことです。

街にはクレーンや仮囲いが増えましたが、2025年は完成形が見えるプロジェクトは限られていました。

一方で、すべての計画が順調に進んだわけではありません。

具体化されていた再開発計画の中には社会情勢や事業環境を踏まえ時期を見直し、様子見となった建物もありました。

例えば北海道ビルディング跡地をはじめ計画が表に出ていた場所が、すぐに形になるのではなく慎重にタイミングを探る動きが見られた一年でもあります。

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北海道ビルディング跡地の再開発現場、計画延期のため「凹場(あなば)」として複数飲食店を出すイベントをやっていました。

一気に完成へ向かうのではなく進むものと立ち止まるものが混在しながら再開発が続いていたのが2025年の特徴です。

 

ふたつ目は、高層ビルを建てることだけが再開発ではなく、今ある建物や街並みをどう使い直すかに目が向けられるようになったことです。

例えば商業ビル内にコワーキングスペースや小規模店舗、イベントスペースができたり、オフィスのみではなく飲食店や滞在スペースが

できる建物が多くなってきましたね。

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写真:4PLA3階の4PLAーPARK

ココノ待合

写真:ココノススキノの交通待合待合室広場

そして三つ目が、観光と日常の距離がこれまでとは違う形で縮まってきたことです。

民泊が増えた住宅街やSNSで拡散される住宅街の中にある小さなお店へ、観光客が立ち入る場面が増えてきました。

観光地が日常に近づいたのではなく、これまで以上に日常の側に観光が入り込んできたイメージです。

2025年の札幌は、そんな変化が印象に残る一年でした。

2025年に動きが見えた再開発エリア

札幌駅周辺|完成よりも“次の段階”へ

2025年の札幌駅周辺は、再開発が進行中であることを日々の風景の中で実感するエリアでした。

大きな完成が話題になる年ではありませんでしたが、工事中の景色が日常に溶け込み駅前は少しずつ表情を変えています。

完成を待つというよりも、変わり続ける過程とともに過ごした一年。

そんな印象が残るエリアです。
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写真:かつて札幌駅南口目の前北4西3にあったビル(現在は解体済み)

旧4丁目プラザ跡地「4PLACE」|2025年10月オープン

2025年10月、大通の象徴的な存在だった旧4丁目プラザ跡地に、新たな商業施設 「4PLACE(4プレイス)」 がオープンしました。

かつて若者文化の発信地だった4プラは単なる建て替えではなく、今の札幌の中心部に必要な場所へ再定義された形で生まれ変わりました。

オフィス、店舗、広場、飲食店と商業施設というよりも、日常と観光の間にある“立ち寄れる場所”。

待ち合わせや休憩、街歩きの途中に自然と組み込まれる存在です。

4PLACEは、2025年に完成した数少ない再開発でありながらこれからの都心再編の方向性をさりげなく示した施設だったように感じます。

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北3条西3丁目|ヒューリックビルが2025年12月に完成

札幌駅前では将来の大規模再開発に注目が集まりがちですが、このヒューリックビルは2025年のうちに実際の「完成」を迎えた数少ないプロジェクトのひとつです。

ホテルとオフィスを中心とした構成は、派手さはないものの堅実な都市更新といえる存在。

札幌駅前通りに面し、地下通路と直結することで、「働く場所」としての都心機能を着実に支えています。

さらに上層階にホテルが加わったことで、観光とビジネスの両面に影響を与え、札幌中心部において中規模ながらも確かな変化をもたらしました。

ヒューリック

まとめ

仮囲いの向こうに見える日常、外観は変わらないけれど中身が変わった建物、そして昼と夜で印象が変わる通り。

一見すると大きく変わったように見えなくても、都心の中身は確実に少しずつ変わってきています。

2025年は、札幌再開発の助走期間。

大型再開発の本格的な完成は、これから先に控えています。

新しい建物はその高さだけでなく人の流れや居心地、建物の用途の変化に目を向けると、 再開発は我々にもっと身近で面白いものになります。

街を歩く目線が少し変わる。

それもまた、再開発の影響のひとつといえそうです。


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札幌市の再開発の状況や、建物や空地の土地情報、新店舗等に札幌の色々な話題を発信していきます。 建築知識のない素人なので難しい建築用語はなく簡単な言葉で書いております。 新しい建物や店舗、公園やシンボルとなるような建物はつい目がいってしまい、色々と情報を得てはワクワクしています!