札幌ドームの赤字経常化問題
「札幌ドーム」は2021年6月で開業20周年を迎えました。
苦境の20周年といわれているのは、売上のほとんどを占める日本ハムファイターズが2023年には北広島に本拠地をうつすためです。
札幌ドームでのファイターズの試合は、年間70日程。
その売り上げは札幌ドームの全体の売り上げの半分を占めると言われています。
年間売上が約40億だったものがファイターズの移転により18億へ
一番の収入源が絶たれてしまうことにプラスして、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う入場制限等で売上は更に減少。
2019年度の来場者数は292万人 売上高は39億7200万円
2020年度の来場者数は54万人、売上高は約20億円
2021年度の来場者数は292万人、売上高は約27億円
2022年度分はまだこれからですが野球の試合がなくなってしまった分、期待はできないでしょう。
中規模コンサートの誘致などを模索していますが、先行きは見通せない状況です。

なぜファイターズは札幌ドームから去るのか
なぜ日本ハムファイターズは札幌ドームから去ってしまうのかは、ズバリ
「使用料金が高いから」につきます。
・1試合の使用料は約1700万円×約70試合(年間)
・駐車場使用料と警備費
・清掃費
・屋内の飲食・グッズ売上は札幌ドーム側に入り球団側には入らない
・天然芝ではなく人工芝 etc・・・
と理由は多岐にわたる様です。
日ハム側が札幌市に歩み寄り、使用料の値下げやフランチャイズ化等の交渉を行いましたが交渉決裂になった模様。
札幌ドーム側としても第三セクターとして運営をしていることもあり、すぐに答えをだせずにいたのかもしれません。
札幌ドームは札幌市職員の天下りがいるとか、道内の名だたる企業が会社名を連ねているので悪いニュースは報道しないとか本当かどうかわからないこともささやかれています。

結局、2016年には日本ハムファイターズは北広島へ本拠地を移転と決定し発表しました。
莫大な使用料や運営ルールがあるより、球団自ら主体的に運営ができるわけですから売上もあがりやすいと考えたのでしょうね。
日本ハムファイターズの新本拠地は「エスコンフィールド北海道」で収容人数は3万5千人。
奇しくもドーム型とは全く違う三角屋根の開閉式で天然芝の球場です。
地下2階地上6階建て。
レストランや温泉、ホテルが完備される「レフト・ビルディング」は5層建てという野球観戦をしない人でもワクワクするような施設となります。
エスコンフィールド北海道は2023年1月に完成、3月に新球場オープン予定です。

札幌ドームには血税が使用されている
札幌市の第三セクターでできた「札幌ドーム」は、公共の施設というくくりになります。
赤字でも市民税・道民税を損失補填すればなくなることはありません。
でも、それは私たちの払った税金です。
今後、先行きが見えない中で経営状況が厳しくなるのは目に見えています。
コンサートなどのイベントも札幌ドームをあまり使用しないのは札幌中心部から離れていることで機材搬入がしにくかったり、収容人数の5万人は札幌には大きすぎたからです。
「きたえーる」(収容人数8000人)や「真駒内アイスアリーナ」(収容人数10024人)を使用してコンサートをするアーティストが多いのはそこに理由があります。
東京や大阪のドーム球場は年間50回ほどのコンサートがあるのに対し、札幌ドームは年間10回ほどとのこと。
ドーム内を仕切ってコンサートやイベントを行うという案もありますが、経営安定化はみこめません。
札幌ドームのイベントがなくなってしまうと札幌地下鉄東豊線の収入にも大きく影響します。
借金返済を市民、道民に税金で重くのしかってくるのでは無意味です。
さて、どうする札幌市。
日本ハムファイターズ移転後はエスコンフィールド北海道に目が行きがちですが、その裏で札幌ドームにも注目すべきです。