丘珠空港の利活用について
札幌市東区にある「丘珠空港」は、北海道内航空のネットワーク拠点となっている場所です。
観光は主に新千歳空港がメインになりますが、丘珠空港は医療やビジネス路線、生活路線に活用されています。
場所は札幌市内なので、札幌駅からも直線距離で約5キロと近いです。
この丘珠空港を利活用していくため札幌市や北海道を中心に様々な案があがっています。
丘珠空港が増便できない理由
丘珠空港は現在、道外道内あわせて7路線です。
丘珠空港が増便できない大きな理由を4つあげてみます。

1.滑走路が短い
現在の滑走路は1500mあります。
これを通年運航できるのはプロペラ機だけなんです。
JALやANAがの航空機のような100席以上のジェット旅客機が日常的に発着するには難しい長さなんだそうです。
1800mや2000mにすることにより、離発着が可能なジェット機が増えるものの市街地に近いため滑走路の拡張をするには莫大な費用と時間がかかります。

写真:プロペラ機
2.騒音問題
丘珠空港周辺には住宅地があるので、周辺住民の方の理解が必要になります。
現在の運行時間は7:30~20:30ですが、本格空港とするのであれば運用時間の拡大が見込まれます。
騒音については実証飛行をして周辺地点を決めて測定をし市民説明会等を行っています。
現在の生活環境を守りつつ丘珠空港を航空ネットワークの拠点として利活用していくために力をいれているのがわかりますね。
また、自衛隊の空港と共用していることで便数の制限もあります。
3.積雪による除雪問題
丘珠空港は札幌市内でも積雪の多い場所にあります。
飛行機の発着は、雪に影響されるので除雪や排雪作業が必要になります。
これにも時間も費用もかさみます。
4.丘珠空港までの交通機関
丘珠空港までは、地下鉄とバスを乗り継いでいかなくてはいけません。
最寄りの市営地下鉄東豊線栄町駅からは1.5kmあります。
アクセス改善をする公共交通機関が必要です。
また、空港面積が小さいことから駐機スペースや格納庫のスペースが限られてしまうという問題もあります。
このような問題点があるため思うように利活用できない状態にあるんですね。
札幌市が丘珠空港の利活用を決めた理由
札幌市が丘珠空港の利活用に腰をあげた理由は、2020年から北海道内7空港の民間委託が決定していたことから検討しはじめたと考えられます。
新千歳空港、函館空港、釧路空港、稚内空港、旭川空港、帯広空港、女満別空港の7空港です。
特に丘珠空港に近い新千歳空港が民営化されることにより、どのように丘珠空港に影響するか不透明です。
新千歳空港は2020年1月に民営化がスタートしたものの新型コロナウイルス感染拡大の影響で発着便が激減しました。
国際線のみならず国内も旅客便減少に伴って貨物輸送も減っています。
空港の運営会社は当初見込んだ収益を得られておらず、今後5年間計画を見直す予定です。
道内で唯一黒字だった新千歳空港でも苦しい状態ですから、今後の情勢しだいではありますが丘珠空港も集客面をはじめ厳しい状態になる可能性もあります。

それを打開するための布石として、丘珠空港では滑走路の延長や空港名の変更等の案もでているようです。
空港名は丘珠を「おかだま」と読めない人が多く認知されにくいのではないかということで「札幌空港」「札幌時計台空港」「初音ミク空港」なんていう案もでているようです。
全国には「鳥取砂丘コナン空港」「高知竜馬空港」「出雲縁結び空港」などユニークで面白いネーミングで集客している空港も多いのでそれもありかもしれません。
民営化の対象外のとなる空港も維持・存続していくために、何か案を練らなくてはいけないということですね。
新千歳空港より近いのになかなか行かない丘珠空港
7路線先にお住まいの方やその家族、またはビジネス利用される方は丘珠空港になじみがあるかもしれませんが、それ以外の方は札幌に住んでいても利用したことがないという方も多いのではないでしょうか。
どうして丘珠空港は新千歳空港より近いのに、もっと便数を増やせないんだろう・・とは思っていましたが今回のことを調べるまで問題点があることを知りませんでした。
また、丘珠空港がビジネス、生活路線、観光需要、医療、防災等様々な機能を持っていることを知りました。
メディカルウィングも発着しているそうです。
(※メディカルウィング=患者搬送用の固定翼機、道民の命を守る航空機)
航空機の性能があがり、騒音レベルは低下してきていますし必要滑走路も短縮傾向にはあるそうです。
様々な問題をクリアできれば、丘珠空港からの航空機増便につながっていくと思います。
札幌都心に近い場所にあるけどなかなか行かない丘珠空港。
今後はもっと身近で利用できる空港に変化するかもしれませんね。

